首都高速道路技術センターは、首都高速道路(株)以外にも国交省、東京都などの鋼橋、RC橋・PC橋の維持・保全に係わる設計業務やアセットマネジメント業務を行っております。

見えないものを見る「点検調査・診断技術」の提供

疲労き裂調査・診断・応急処置技術

 鋼構造物に発生した疲労損傷の点検調査・診断を行っています。き裂の調査は、磁粉探傷試験(MT)や超音波探傷試験(UT)などの非破壊検査技術の利用や、切削して内部の状態を直接確認することにより行います。

 き裂の診断は、土木鋼構造物診断士や非破壊検査技術者などの資格を有する経験豊富なエキスパートが行っています。

①磁粉探傷技術 目視では確認できないき裂の進展の確認が可能!

 鋼構造物に発生した疲労き裂や溶接割れの形状と長さ、方向を磁粉探傷試験により調査します。また、き裂の進展管理についても追跡点検を行います。

磁粉探傷試験(Magnetic particle Testing)とは?

 検査対象箇所を磁化すると、表面き裂から磁束が漏洩します。散布した磁粉(強磁性体の粉末)がこの磁束漏洩部に吸着することにより、き裂の識別を容易にする手法です。

hagane_01_2

鋼床版デッキプレートと閉断面リブの溶接部のき裂をMT試験により調査している事例

鋼床版デッキプレートと閉断面リブの溶接部のき裂をMT試験により調査している事例

まわし溶接部内に存在するケース

まわし溶接部内に存在するケース

溶接ビード内に現れたケース

溶接ビード内に現れたケース


②超音波探傷技術 表面には見えないき裂をUTによる調査により確認!

 超音波探傷試験により、溶接内部の欠陥(疲労き裂,溶接割れ)の位置や大きさを調査します。また、溶接金属の溶け込み量やルートギャップの測定も可能です。

超音波探傷試験(Ultrasonic Testing)とは?

 検査対象箇所に超音波を伝搬させて、き裂から反射するエコーを検出することにより、き裂の有無、距離情報を得る手法です。

hagane_01_4

デッキプレート下面側から進展している表面には見えないき裂をUTにより調査している事例

デッキプレート下面側から進展している表面には見えないき裂をUTにより調査している事例

③溶接継手(隅角部)における超音波探傷試験(UT)の健全度調査

 橋脚の健全度を確認するために、隅角部の溶接継手について内面側から超音波探傷試験(UT)調査を行います。内面側からのUT斜角探傷による柱角溶接継手の溶接状態(溶け込み量、脚長、実のど厚)を調査します。

④切削調査技術

 き裂の進展状況(母材への進展の有無、き裂の先端、起点、進展経路)やき裂の発生原因の推定を目的として、棒グラインダーにより溶接部を切削して調査を行います。

⑤マクロエッチング

 金属の組織(母材、溶接熱影響部、溶接金属)を調べ、き裂との位置関係を調査します。

hagane_01_5

応急処置技術

 放置することが望ましくないと判断したき裂に対しては、切削によりき裂の除去、応急的な進展防止としてストップホールの施工を行います。

①き裂除去工

 比較的深さの浅いき裂や長さの短いき裂など、完全に除去した方が良いと判断されるき裂を棒グラインダーで切削除去します。

hagane_01_6_1hagane_01_6_2

②ストップホール施工

 き裂の進展を応急的に防止するために、き裂の先端にストップホールを施工します。施工後は、き裂の先端を確実に除去していることを確認するためにMT検査を行います。

表面に見えない内部のき裂先端も確実に抑えることが重要です。

表面に見えない内部のき裂先端も確実に抑えることが重要です。

反対側にはき裂がなく、き裂の先端を除去したことが確認できます。

反対側にはき裂がなく、き裂の先端を除去したことが確認できます。

き裂の先端にストップホールを施行 鋼床版のトラフリブにストップホールを施工している事例

き裂の先端にストップホールを施行
鋼床版のトラフリブにストップホールを施工している事例

ストップホールは、バリやノッチをとり滑らかに仕上げなくてはなりません。

ストップホールは、バリやノッチをとり滑らかに仕上げなくてはなりません。

③仕上げ工

 ストップホール施工箇所や切削部などにき裂が再発しないように、切削壁面および溶接金属止端部などを滑らかな形状に仕上げ、バリやノッチがないように研磨します。

最先端のき裂調査技術

 超音波探傷による調査の効率化、記録性・客観性の向上を実現するために、目的に応じた探傷機器の開発を行っています。

①鋼床版半自動超音波探傷装置(SAUT)鋼床版閉断面リブ溶接に発生する見えないき裂を発見!

 近年、重交通下で供用する鋼床版閉断面リブを有する橋梁において、デッキプレートと閉断面リブの溶接線に疲労き裂が発生し問題となっています。このき裂は、閉断リブ内の溶接ルート部を起点として発生し、溶接ビード、またはデッキプレート上面に進展します。デッキプレートに進展するき裂では、外面からの目視点検で発見することができず舗装上面に変状が現れるまで発見することが困難で第三者被害が懸念され問題となっています。

hagane_01_7

 このき裂を調査する手法としては、デッキプレート下面側からの超音波探傷試験が有効であり、6mm以上進展したき裂を発見することが可能です。しかし、人の手による超音波探傷(マニュアル探傷)では、リブ全線に渡る検査に膨大な時間とコストを要することになります。

 そこで当技術センターでは、鋼床版閉断面リブ溶接線専用の探傷システムSAUTを開発しました。SAUTは半自動走査により高速に探傷を行うことができ、また波形情報と探傷位置の情報を自動記録することにより探傷記録を可視画像で再現できます。当技術センターでは、SAUTによりデッキプレートと閉断面リブの溶接線の健全性を効率的に調査しています。

hagane_01_8

②自動垂直超音波探傷装置(AUT)鋼製橋脚隅角部のデルタゾーンの調査に!

 鋼製橋脚の隅角部はその板の組み方により、ウェブと柱・梁の両フランジ、柱と梁のフランジ同士の3つの溶接線が交差する箇所において溶接の溶け込みが難しい部分が生じます。この三角柱状の未溶着部(デルタゾーン)の調査は、ウェブ側面からの垂直超音波探傷試験によって調べます。

鋼製橋脚(角柱)と隅角部

鋼製橋脚(角柱)と隅角部

隅角部の仮組みとデルタゾーン

隅角部の仮組みとデルタゾーン

 超音波探傷試験は探触子を手で走査する(MUT)が一般的ですが、測定精度が検査者の技量に依存することが多く、測定間隔が粗いこと、記録性に乏しいという欠点があります。これに対し自動垂直超音波探傷(垂直AUT)は、自動で探触子を走査し1mmという細かい間隔で全波形データを記録することができます。また、探傷結果を画像として出力することが可能です。

垂直AUTによる探傷結果

垂直AUTによる探傷結果

垂直AUTによる探傷結果

垂直AUTによる探傷結果

③10連タンデムアレイ 溶接の未溶着部などの面状欠陥に高い検出能力を発揮!

 10連タンデムアレイ探触子を用いて、反射指向性のある面状キズに対し高い検出能力で超音波探傷が可能です。探触子の前後走査を行わずに探傷できるため、高速にデータを採取でき、また採取したデータの再現性に優れています。採取したデータは開口合成処理により画像化が可能です。

 鋼構造物の十字溶接部のルート検出に主に用いられており、溶接が完全に溶け込んでいるか確認できます。

10連探触子(十字継手の未溶着部を探傷中)

10連探触子(十字継手の未溶着部を探傷中)

開口合成処理により、欠陥検出部を画像化

開口合成処理により、欠陥検出部を画像化

PAGETOP
Copyright © Highway Technology Research Center. All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.