首都高速道路技術センターは、首都高速道路(株)以外にも国交省、東京都などの鋼橋、RC橋・PC橋の維持・保全に係わる設計業務やアセットマネジメント業務を行っております。

道路保全技術の研究開発

構造技術研究所

点検・調査技術

(1)鋼床版き裂の半自動超音波探傷装置(SAUT:Semi-Automatic Ultrasonic Testing)

車両が多く通行している鋼床版橋梁では、Uリブとデッキプレートの溶接部から疲労き裂が発生することがあります。このような疲労き裂は鋼材表面から確認できないため、超音波探傷で調査を行います。従来の超音波探傷は1箇所で探触子を細かく動かす必要がありましたが、専用探触子を連続的に移動させることで検査時間を大幅に短縮できるようになりました。検査結果は即時に出力画面に表示され、き裂の発生位置を確認することができます。
【特許取得済/NETIS登録済】

(2)横締めPCグラウト充填調査技術

ポストテンション方式のPC橋梁では、シースにグラウトが十分に充填されていない場合があります。横桁などのPC鋼材の定着部に近接できる部材に対し、衝撃弾性波法でグラウト充填状況を確認します。PC鋼材の定着部をハンマーで打撃し、反対側の定着部に取り付けたセンサーでPC鋼材を伝わった波形を受信します。受信波形を分析することでグラウトの充填程度を判定することができます。【特許取得済】

(3)橋脚水中部調査機器

これまで水中構造物の点検は主に潜水士によって行っていますが、費用が割高となる課題があります。開発した調査機器はカメラにポールを取り付け、船上から操作することで対象箇所に移動させます。沿岸部や河川部では水の流れが速いこともあるため、カメラ回りに電動スクリューを取り付けることで移動をアシストしています。また、カメラ全面にアクリルボックスを設置し、空気層を設けることで濁った水中でも鮮明な画像を撮影することができます。【特許取得済】

補修・増強技術

(1)UITによる鋼構造物の疲労対策技術

鋼構造物では繰り返し荷重が作用すると、溶接部から疲労き裂が発生することがあります。UITは溶接止端部を直径3mmの金属製の棒で打撃することで鋼材表面に圧縮応力を導入し、き裂の発生を防止します。これまでは予防保全対策として用いられてきましたが、短いき裂に対しても補修効果があることが疲労試験で確認されました。発生したき裂に対しては、グラインダーによる切削除去や鋼板を取り付けることで補修を行っていましたが、UITを用いることで施工能率が向上し、施工費用を大幅に削減できるようになりました。【特許出願中】

防災技術

(1)支承部材の地震時落下防止技術

支承は地震時に影響を受ける部材の一つです。そのため、地震時に部材の一部が破損して落下することがあります。部材の落下を防止するために、急斜面での落石防止に使われている繊維ネットで支承全体を覆うことにしました。繊維ネットはアイボルトとロープで支承の上下端に固定されており、点検や補修を行う時に取り外しや再設置を容易に行うことができます。部材が飛散してネットに当たった時にネットが破損しないことを衝撃試験で確認しています。【特許出願中】

(2)支承部の地震時損傷検知システム

大地震時には支承部の損傷によるジョイント部の変状や橋脚の傾斜が生じることがあります。橋脚上に傾斜計、支承の上沓と下沓間に断線センサーを設置し、地震によるジョイント部の段差や橋脚の傾斜の検知および検知結果のサーバーへの送信を行います。【特許出願中】

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現と推進

当センターは、これまで首都高速道路におけるスマートインフラマネジメントシステム(i-DREAMs®)を開発し、データプラットフォームを活用したデジタルツインの実現を推進してきました。
近年では、国土交通省が推進するi-Constructionに代表されるように、インフラ分野でもICT、AI、IoT、ロボティクスなどの先進テクノロジーを活用したデジタル化が加速しています。
この流れを受け、当センターでは、デジタル分野のさらなる高度化・DXの実現に向けた研究開発の強化を図るため、2021年4月、新たにデジタル・イノベーション(DI)研究所を設立しました。
DI研究所では、デジタル化によるインフラマネジメントのさらなる高度化やイノベーションの推進を図り、新たな付加価値を創造していくことを目的として、維持管理BIM/CIMモデルの開発などスマートインフラマネジメントに関する研究、AI等のデジタル技術を活用した調査・診断に関する研究、地震・防災モニタリングシステムの開発等の地震防災に関する研究、道路交通情報の高度化に関する研究、通信・エネルギープラットフォームに関する研究、オープンイノベーション・人材育成に関する研究など、調査・設計から施工、維持管理、運用、防災に至るすべてのフェーズを対象とした研究開発を進めていきます。
また、近年のWeb3、XR、メタバースなどの取組みも進めていきます。

点検・調査技術

橋梁の点検訓練シミュレータシステム ~鋼橋の疲労損傷を効率的に学習~

バーチャル・リアリティ(VR)技術を活用し、場所や時間の制約を受けることなく実橋の点検が体験できる教育ソフトです。【特許出願中】

 

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